夫の不義から始まる「妻の寝取られ」

ハナミズキ 第四話「落花」
1年前ー。
結婚3年目のノブと花は
仕事が忙しくなるにつれ
ともに過ごす時間が減っていき、
セックスレスに陥っていた。悶々としながら花との関係に悩むノブは
旧友・米澤からの連絡によって
花に関する「ある事実」を知る。
平凡な夫婦を狂気に駆り立てたものとは…?そして現在ー。
ノブの眼前には上司・佐野による辱めを受け、
身体の反応を隠しきれなくなった花の姿が。快楽に抗い続け、復讐に徹しきれない花を見て
佐野はノブの本性を暴くためのテストを思いつく。なおも自身の尊厳とノブへの思いを
諦めない花だったが、
次第に乖離していく心と身体に翻弄されていき…。花を信じ続けたノブの思いは届かず、
ついには「その時」を迎えてしまう。
今回は、サークル「ロシナンテ」様のハナミズキ 第四話「落花」の予告紹介に合わせて、最新作、ハナミズキ 第三話「あの夜」のレビューをしていきたいと思います。本ブログで宣伝したこともあり、発表された作品への感想も書きたいと思います。
結論として、「エロとしては本番無し」であり、次章への良い布石を築いた内容となっています。ハナミズキ 第三話「あの夜」のサンプル画像にも記載されている通り、本編での「※Hシーンは少なめ、本番シーンはほぼありません。」という文面通りです。延期の件も考えると、第三話と第四話は、一つの短編として発表したかったと思います。願わくば、ハナミズキ 第四話「落花」の制作が順調に進むことを祈っています。
さてここからは、そんなハナミズキ 第三話「あの夜」の「Hシーン以外」の物語についてレビューしていきたいと思います。
「落ち」の変化

まず、ハナミズキ 第三話「あの夜」は、「Hシーン少なめ」とありますが、物語全体が短いということではありません。「第二話81P」に対して、「第三話79P」というところからも分かります。そして、第三話「あの夜」を読む前と読んだ後では、読者が読みたい「落ち」が変化しています。

シリーズ全体の方針としては、会社の後輩と不倫した夫に復讐するため、妻も会社の同僚と不倫するお話です。しかしこの「復讐」は、罪への清算であり、今後も夫婦としてあり続けるための「儀式」だと、妻は言います。
つまり、最終的には、夫婦として再出発する「ハッピーエンド」だったわけです。読者視点では、そんな妻の思惑とは別に、妻の不倫相手の同僚が、ある企みを抱いていることを知ります。
夫婦の化けの皮を剥がす
第三話「あの夜」で示された、本シリーズの「落ち」。それは、第二話「過ちのはじまり」で提示された「男女の本質」を、この夫婦に分からせること。

第二話「過ちのはじまり」で突如登場した「国語教師」は、生徒に慕われながらも、夜のバーで、性を謳歌する変態痴女でした。それは、「彼女だけが特別」ではなく、「女とはそういうもの」。
もちろん、「男もそういうもの」という「真理」を体現した存在に過ぎません。彼女に言わせれば、本作の夫婦は、「さぞ、生きづらい人生を送っている」ということになります。
そして、そのバーの常連客だった国語教師と妻の同僚は、その現実から目を反らし、綺麗ごとを並べる、夫婦の「儀式」に巻き込まれることになります。

妻が復讐を始まるが……
第三話「あの夜」を通して、シリーズの良心とも言える「妻」の「退廃」こそ、本シリーズの「落ち」であり、「堕ち」であることが示唆されたと思います。夫への「儀式的な復讐」も当初は、そう思わせる「身代わり(第二話の国語教師)」を用意するなど、夫へ配慮した清算を選んでいました。
最終的には、「同僚との不義(肉体関係)」による「同罪」こそが、唯一の「贖罪」だと認識を改めるのですが、それでも「夫婦の再出発」を願っていました。
そのため、同僚とセックスしても、「ただの肉体的な接触」という認識だったのです。しかし、そう思われる妻の同僚は面白くありません。それでは、「ただの肉の棒」でしかありません。彼は、セックスを通して、ヒロインに教えたいと思ったのです。「愛」で語れない「雌の喜びがある」ことを。
どんな顔を見せるか楽しみ

妻の同僚は知っています。「女とはそういうものである」と。「愛」など綺麗ごとを語っても、体は「性」を求めてしまう。彼女の開発を通して、その奥に隠れた「雌の素顔」を見たいと思っています。

一方で、妻は、夫の不倫を糾弾した立場として、好きでもない男性によがる姿は、決して夫に見せるわけにはいきません。そして、好きでもない男性によがる妻の姿は、夫にさらなる絶望を与えることでしょう。ますます、今後が楽しみな「ハナミズキ」シリーズです。一日も早い発表を心よりお待ちしております。
レビュー
結論として、まだ続くお話となっておりますが、シリーズ通しての「堕ち」と「落ち」や、さまざまな登場人物の交錯した「疑問」への「回答編」となっておりました。本シリーズの始まりとも言える主人公の「不倫」が、実は、ここまで被害者とも言える彼女の「生真面目な行動」が原因だったというのが、とても皮肉が効いています。
本編開始前に、彼女と知らない男性がツーショットで仲良くしている写真を、主人公の友達が善意で教えてくれた。このツーショットは、デート風動画のPR撮影に協力していたというのが「落ち」でしたが、仕事柄の守秘義務として、彼女は主人公に黙っていた。さらに、彼女とのセックスレスが半年間も続いていたなど、彼女の性への潔癖主義が、普通の価値観を持つ主人公を狂気へと駆り立てたのです。
本来なら、普通なら、家族とはこういうもの。こういうセックスの頻度である。その一般常識からかけ離れた彼女の言動に、「何か裏がある」と疑心暗鬼になってしまったわけです。また、この彼女の「性への潔癖主義」というのが、物語全体通しての「アンチテーゼ」となっており、彼女が腹いせセックスに選んだ同僚や、彼と意気投合した女教師は、その真逆を行く存在となっています。
第4章は、主人公が揺らいだ性の価値観の真偽。つまり、彼女が抱く「性への潔癖主義が間違いだったのか」の検証となっています。面白いのが、間違いであれば、主人公が「不倫」へ走った動機に、一定の情状酌量の余地が生まれるが、現実としては「寝取られ」へと進んでいく。反対に、同僚とのセックスに抵抗出来れば、「寝取られ」は回避できるが、主人公の「不倫」は、彼女への「裏切り」の証明になる。どちらに転んでも、昔のような絆を取り戻すことは不可能ということになります。とどのつまり、この「不倫」を清算する儀式さえ、まったくの無意味であるというのが、本作の背徳感を加速させていて、行き場のない感情が溢れる感じが、とてもゾクゾクして興奮して素晴らしかったです。








